以前のコラムでお話していますが、火災保険は火事のほか台風や大雨、洪水など自然災害による住宅や家財の被害を補償します。
以前は最長で36年契約の火災保険がありましたが、現在では最長で10年の契約期間があり、契約者が負担する保険料は、この先の10年でどの位の災害が起きるかを見込んで決められています。
近年、台風や大雨の被害が毎年のように相次いで保険金の支払いが巨額に上り、保険会社の収支が悪化してきています。
この様な理由で東京海上日動、三井住友海上、損保ジャパン日本興亜、あいおいニッセイ同和損保の大手4社は、10年契約の保険をなくして、期間がさらに短い5年契約に変える方針です。
契約期間を短くすれば、直近の自然災害の発生状況や保険金の支払い額をもとに契約者が負担する保険料を変更しやすくなるためです。
今後、損保業界内で議論が進み、早ければ年内にも見直しが決定する見通しですが、台風や大雨による大規模な被害が相次ぐ最近の傾向を踏まえれば、契約者にとっては5年ごとに契約を更新するたびに保険料が値上がりする可能性があります。
そこでなぜ契約期間を短くするのかお話します。
火災保険の保険料は、これまでの自然災害の発生状況をもとに、今後、災害が起きる確率や予想される保険金の支払い額を計算して決まります。
保険料は契約期間中は一定で、更新時期を迎えるまで変わりません。
しかし、甚大な被害をもたらす自然災害が相次いでいるため将来の予測は難しくなり、契約期間の長い火災保険では、保険会社の収支があわなくなるおそれが高まっているのです。
損害保険各社によりますと、災害で支払った保険金の総額は、予想を超えて巨額になっています。
2018年度は過去最高のおよそ1兆6600億円。
2019年度も台風被害が相次いだため1兆円を超える見込みです。
相次ぐ災害を反映して保険料はすでに値上がりが続いていますが、大手損害保険会社は、去年10月に保険料を全国平均で6%から7%値上げ。来年1月にさらに値上げすることが決まっています。
保険の契約を結ぶ個人にとっては、契約期間が短くなれば更新の機会が増えます。
災害が相次いでいることを踏まえると、契約者にとっては更新のたびに保険料が上がっていく可能性があります。
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