今回は、法務局で取得することのできる「要約書」についてお話します。
まず、要約書とは「登記事項要約書」の略称です。
その名のとおり登記事項を要約したもので、不動産登記の内容の一部が確認できます。
かつて登記用紙が紙で作られていた時代には、土地や建物の不動産情報は登記所内の所定の場所で閲覧できていました。しかし現在ではほとんどの登記情報がデジタル化されているため、紙ベースでの閲覧ができなくなっています。
データの一部分だけでも閲覧したいという希望者のニーズに応えるため、登記事項要約書が発行されるようになりました。
また、要約書は登記事項証明書と比べて、記載される内容が少なくなっています。
要約書には以下の項目が記載されています。
① 不動産の表示に関する事項(所在,地番,地目,地積,家屋番号,床面積など)
② 現在の所有者の住所,氏名及び申請書受付の年月日,受付番号
③ 甲区(所有権に関する事項欄),乙区(所有権以外の権利に関する事項欄)のうち、現在効力を有しているものの主な登記事項
例:差押,仮差押など…債務者の住所,氏名
抵当権…債権額,抵当権者の住所,氏名
根抵当権…極度額,根抵当権者及び債務者の住所,氏名
要約書では、「登記簿謄本」と違い対象不動産の過去を知ることができません。
現在の所有者になる前は誰が所有者だったか、権利関係がどのように移行されてきたのかを知るには、登記事項証明書を確認する必要があります。
また現在の所有者に関しても、その所有者に所有権が移転した「理由」を知ることはできません。