住宅ローンをうっかり数日間の延滞をしてしまったら?
「残高がいつのまにか足りなくなっていた……」
「支払日を勘違いしていて、口座に入金し忘れていた……」
というようなうっかりミス。
明確な意思を持って滞納しようと考えていなくても、大切なのは気づいたあとの行動です。
今回は、住宅ローンを延滞してしまった場合についてお話します。
・すぐに銀行へ連絡する
滞納に気づいたら、すぐに銀行の担当者に連絡してください。
「いつまでに支払います」と期限を明確にし、銀行へ支払う意思があることを伝えましょう。
滞納があると、契約者に対し銀行は不信感を持ちます。
素早い行動により、銀行からの不信感をなくし、信頼関係を取り戻すきっかけとなります。
・1日での延滞でも遅延損害金が発生する
遅延損害金は、たった1日でも住宅ローンを滞納すると発生するものです。
滞納時に発生する遅延損害金は、元金に対して年14.6%の利率に設定している金融機関が多いです。
次の例を参考にして下さい。
毎月の返済:13万円(利息分3万円・元金返済分10万円)
滞納期間:10日間
遅延損害金は、10万円✕14.6%✕10日÷365日の計算式で算出します。
損害遅延金は400円となります。
【住宅ローン返済を延滞・滞納はいつまで大丈夫?】
返済しようにも、どうしても工面できないことが起こるかもしれません。
住宅ローン滞納後、すぐに差し押さえや競売が実施されるものではない点に安心してください。
滞納後の工程を5段階に分けてお話します。
①延滞1~2ヶ月:支払い請求が届く
銀行から「支払請求書」が最初に届きます。
延滞から1〜2ヶ月後が目安でしょう。
住宅ローンの滞納額や回数などが記載されています。
支払請求書は、圧着はがきタイプで送付されることがほとんどです。
電話や直接訪問のように、厳しい取り立ては、この時点では発生しません。
支払請求書が届いたら、無視せずに中身をしっかり確認してください。
住宅ローンの支払いが困難であれば、そのことを伝えるためにも速やかに銀行に連絡しましょう。
②延滞2~3ヶ月:催告書が届く
支払請求書が届いたにもかかわらず、支払いや銀行へ連絡しなかった場合。
延滞から2〜3ヶ月すると届くのが「催告書」です。
一般的に、催告書は封書で送られてきます。
また、内容も支払請求書よりも銀行の強い対応が現れた表記に。
「債権の期限の利益」や「債務の履行」など難しい専門用語が並べられています。
銀行からの最後通告と言っても過言はないでしょう。
③延滞3~6ヶ月:期限の利益喪失通知が届く
銀行からの最後通告である催告書を受け取り、延滞から3〜6ヶ月すると、今度は「期限の利益喪失通知」が届きます。
これは、「数千万円の借り入れをした住宅ローンを毎月分割で返済する権利」を失うことを示しています。
住宅ローン残高の一括返済が求められることに。
そのうえ、支払いが不可能なほどの短期間しか猶予がありません。
ただでさえ毎月の返済が滞っているのに、一括返済は難しいでしょう。
一括返済ができないため、期限の利益喪失通知の数日後には「代位弁済通知書」が届きます。
契約者の代わりに、保証会社が住宅ローンを返済したことを伝えるものです。
ただし、「肩代わりしてもらえて良かった」では終わりません。
支払いを求める相手が、金融機関から保証会社に変わっただけです。
④延滞6~10ヶ月:競売開始決定通知が届く
一括返済ができず、住宅ローンの取り立てが保証会社の手に渡ったあとは、競売開始決定通知が裁判所から届きます。
この通知が届けられる目安は、延滞し始めてから6〜10ヶ月後です。
保証会社からの申請により、裁判所が住宅を差し押さえ、競売に出す手続きを始めたことを知らせるものです。
差し押さえの事実は、登記簿謄本に記載されるため、第三者にも認知されます。
⑤延滞12~16ヶ月:期間入札の通知が届く
裁判所の執行官や不動産鑑定士が、競売価格を決定するための調査を実施したのち、「期間入札の通知」が届きます。
延滞から12〜16ヶ月後の時期です。
この通知には、入札申し込み開始日や入札者が決定する日などの記載があります。
また、新聞やインターネットで、競売情報は公開されるため、近隣に住んでいる方にも競売の事実が知れ渡るでしょう。