住宅ローンの事前審査申込書では借入履歴を申告する欄があります。 「どこから」「いくら借りていて」「毎月いくら返済しているのか」ということを申告しなければならないので、記入するにはかなり面倒です。
しかし、ここをしっかりと申告しないと住宅ローンの事前審査に落とされてしまう可能性もあるので要注意です。
今回は、住宅ローン事前審査で借入状況を申告する理由についてお話します。
まず金融機関ががお客様のことをどのような目線で見ているのかお話します。 金融機関はお客様に対して「性悪説」で審査を行っています。 つまり「お客様は審査に通過するために嘘をつくもの」という目線です。
私の経験上、多くの顧客が住宅ローンやその他のローンの申込時には他社借入を実態よりも少なく過少申告する傾向にあります。
特に住宅ローンの場合は夫婦で申込に来る傾向にあり、夫が妻に内緒でカードローンなどを借りていた場合には、まずその借入を正直に申告するようなことはあまり多くはありません。
金融機関は顧客お客様が「嘘をつく可能性が高い」と分かった上で他社借入の自己申告を行わせているのです。 また、そもそも他社借入は闇金や個人的な借入以外にはすべて個人信用情報に記録されており、事前審査では個人信用情報に照会を行いそこから「他社借入がどれくらいあるのか」というチェックを行っています。
審査に入って個人信用情報を調べれば他社借入状況は分かることなのに、わざわざお客様に申告させるのには理由があります。 一体、どんな意図で金融機関はお客様に他社借入を申告させているのでしょうか?
事前審査の際に他社借入を申告させる最も大きな理由は「自分の借金を把握できている人かどうか」ということです。 借金の実態と申告金額が合致している人は「自分の借金の把握ができている計画性の高い人」などとプラスの評価になります。 一方で申告した借金の内容と借金の実態が全く異なる人は「自分の借金すら把握できていないルーズな人」というマイナスの評価になります。
もしくは明らかに意図的に嘘をついていると思われるような規模の大きな過少申告をする人に対しては「都合の悪いことは嘘でごまかす信用できない人」というマイナスの評価も加わります。 つまり金融機関
が事前審査で知りたいのは借金の実態ではなく、「申込者の借金に対する姿勢」なのです。
その他、金融機関の実務上の理由という点も挙げられます。
ネットバンクなどのネットで申し込みをした事前審査の内容がすぐに審査システムに反映されるのであれば事前審査に銀行側の手間はほとんどかかりません。
しかし店舗型の金融機関の住宅ローン審査の現場では、お客様から受け付けた事前審査申込書に簡単な資料をつけて保証会社にFAXなどで審査依頼を出します。 この手間がそこそこ面倒で時間もかかります。
そこで事前審査申込書を受け付けた段階で、申込書に記載された他社借入や年収から「この人は審査に通過できそうな人かどうか」ということを金融機関の担当者が判断しているのです。
この段階で「この人は借入が多すぎて絶対に住宅ローン審査に通過できない」と判断できるのであれば、わざわざ手間をかけて保証会社に審査依頼を行う必要はありません。
住宅ローンの審査では個人信用情報の照会を行いますので、ここで「どこから」「どのローンを」「いくら」借りているのかということは丸裸になってしまいます。 事前審査申込書の他社借入欄を過少に申告することは意味がないばかりかマイナスです。
金融機関は「自分の借金を把握しているか」ということをこの部分でチェックしています。 住宅ローン審査では、申込内容全ての裏をとります。 他社借入だけでなく、その他の情報についても嘘はマイナスにしかなりませんので、必ず正直に申告するようにしましょう。