「割印」と「契印」は、契約書を交わす際、後から契約書が改竄かいざんされてしまうことがないように押印する印です。
不動産や自動車の売買、雇用契約など重要な契約や公文書を取り交わす際には、印鑑が正しく押印されているかを必ず確認します。
事務手続きのうえでは、割印と契印はまとめて「割印」と呼ばれることがほとんどかもしれません。
ただし、割印と契印は、それぞれ役割の異なる印鑑です。
割印と契印も実印や銀行印などと同じように役割の名称ですので、同一の印鑑を使って押印しても問題ありません。
しかし、押印する意味や押印する場所に違いがありますので、契約時のトラブルを防ぐためにも「割印」と「契印」それぞれの役割をお話していきます。
割印とは、契約を交わす際、作成した契約書の原本と写し、正本と副本などのように2つ以上の独立した文書が関連していることを示すために各文書にまたがるように押印する印鑑のことです。
契約を結ぶ際には、自分と相手、自社と他社とが存在するかと思います。 その際、同じ契約書を2部以上作成する場合があると思います。
その契約書が「同じ時に作成された同じ契約書である」ということを証明するのが割印の役目です。
つまり、契約書類に割印があれば、同じ日に同じ内容で作成されたことを証明できるということになります。
逆に言えば、割印がなければ、自分が持っている契約書と相手が持っている契約書が同一の契約であることを示すことができません。
「後から一方的に契約内容を変更されて、大きな損失が出てしまった」ということにならないためにも割印は非常に重要な印鑑なのです。
その他の場合だと、割印は、領収書とその控えにまたがって押す場合もありますね。 ちなみに、収入印紙へ押印する際、書類と印紙にまたがって押印をする場合も、割印だと考えがちですが、正確には「消印」になります。
次に契印についてお話します。
契印とは、2枚以上にわたる書類のつながりが正しいことを証明するために、書類のつなぎ目や綴じ目とじめに押す印鑑のことを指します。
割印は2部以上の書類が同一であることを証明していますが、契印は割印と違い、契約書類の内容が正しくつながっているかを証明しています。
つまり、一度交わした契約書に、後から故意に書類を追加したり、抜き取ったりというような不正を防ぐのが契印の役割です。
そのため、「割印が押印されていても、契印が正しく押印されていない契約書」には注意が必要です。
まとめると、契印とは、2枚以上の書類のつながりが正しいことを証明し、契約書のページの差し替えや抜き取りなどの不正を防ぐ役割を持つ印鑑といえます。