マンションに住んでいると「修繕積立金」が上がるとして、それは「いつ」「どれくらい」上がるのかが気になります。
今回は「修繕積立金」がいつ上がるかについてお話します。
いきなり結論から言うと、値上げの時期や金額について統一ルールはありません。
なぜなら修繕積立金として徴収しなければならない金額はマンションそれぞれの事情でまったく異なるからです。
修繕積立金はよく管理費と比較されます。管理費は賃貸マンションでもかかることがあるので、修繕積立金よりは身近な存在かもしれません。管理費は主にマンションの管理運営費用として使われるお金です。管理人さんや掃除スタッフの費用、共用部分の光熱費などです。支払先やだいたいの金額が決まっていて、徴収されたお金はすぐに支出されていきます。
修繕積立金は将来の修繕に備え、積み立てられていくお金です。築浅のマンションであればそもそも修繕する箇所がないので、お金は貯まっていく一方です。しかし10年、20年と経過すると修繕箇所が現れます。大規模修繕と呼ばれる外壁補修や屋上防水、配管補修などのほか、マンションの資産価値を高めるために新しい設備を取り入れたりすることもあります。これらはすべて修繕積立金によってその費用がまかなわれます。
毎月の修繕積立金はマンションがいつ、どんな工事をするのかを数10年先まで見通し、必要な金額から逆算して設定されているのです。
修繕積立金の値上げの時期を知るには、管理組合が修繕積立金の積立をどのように行っているかを知ることが重要です。具体的には「段階増額積立方式」と「均等積立方式」のどちらの方式を採用しているかです。
【段階増額積立方式】
段階増額積立方式は、その時点で必要となる修繕積立金を所有者が負担するという考え方がベースにあります。そのため、修繕積立金があまり必要とならない築浅時は金額が低く、築年数が経過し工事が増えるとともに徐々に値上がりします。この方式を採用しているマンションでは所有期間が長くなればなるほど毎月の負担が増えていきます。
【均等積立方式】
均等積立方式は、マンションが生涯必要となるであろう修繕費用をあらかじめ算定し、いつの時点でも負担が均等となるように、毎月の修繕積立金を決める方式です。築年数による不公平感がなく、毎月の費用が固定しているという点で家計管理上も安心です。国土交通省も修繕積立金の徴収方法として均等積立方式を推奨しています。
均等積立方式であれば、基本的には修繕積立金が上がることはありませんが、段階増額積立方式でも長期間修繕積立金が上がらないことがあります。これを「値上げがないから良かった、安心」と決めつけてはいけません。必要な残高がないときに、管理組合は一時金徴収という形で毎月の金額とは別に修繕積立金を徴収するケースもあるからです。
一時金徴収は家計への負担も重くのしかかりますし、マンション所有者全員の合意形成、支払いが難しいという側面もあります。また徴収後もすぐに組合の財務状態が改善するとは限りませんので、修繕積立金の急激な値上がりや、2度目の一時金徴収の可能性も否定できません。
次回は気になる「修繕積立金」の値上がりはどう決まるかをお話します。