一般媒介契約の場合
まず、一般媒介契約の場合はそもそも契約期間に規定がないこともあり、いつでも媒介契約を解約できることとなっています。解約したいと思えば電話で媒介契約を解約することができますし、そもそも複数の不動産会社と重ねて媒介契約を締結できることから、「他の不動産会社を探したい」という目的であれば、中途解約せずとも新しく探すことができます。
専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合
一方、専任媒介契約と専属専任媒介契約については、契約期間が定められていることから、原則として契約期間中は中途解約できません。それでは、不動産会社が納得できる営業活動をしていないようなケースでも契約期間満了を待たないといけないのでしょうか。この点、以下のいずかに該当する場合には解約の申出をすることが可能となっています。
1.
乙が専任媒介契約(専属専任媒介契約)に係る業務について信義を旨とし誠実に遂行する義務に違反したとき。
これは、不動産会社が業務を誠実に遂行する義務に違反したときです。具体的には、たとえば「不動産を売却するための広告活動を行わない」ケースなどが考えられます。
2.
乙が専任媒介契約(専属専任媒介契約)に係る重要な事項について故意もしくは重過失により事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしたとき。
これは、媒介契約に関する重要な事項について故意や重過失により事実を告げなかったケースです。
例えば不動産会社が買主からも仲介手数料を受け取るために、他の不動産会社の問い合わせに対して「すでに売買が決まっている」などと虚偽の情報を伝えるようなことが挙げられるでしょう。不動産会社にとっては1つの取引で売主からも買主からも仲介手数料を受け取る両手仲介が一番多くの利益が得られます。
このため、悪質な会社になると、他の不動産会社に虚偽の情報を伝えて両手仲介を狙う「売り止め」や「囲い込み」といった行為をすることがありますが、これは売主にとって「本当であれば早く売却できたかもしれない」利益を損なうことになります。売主は不動産会社のこうした行為を理由に媒介契約の解約を申し出ることができます。
3.
乙が宅地建物取引業に対して、不正または著しく不当な行為をしたとき
最後は、不動産会社が宅地建物取引業に対して不正な行為をしたときです。先述の通り、専属専任媒介契約や専任媒介契約には活動報告義務やレインズへの登録義務がありますが、これらを怠った場合などが該当するでしょう。
次回は中途解約のペナルティの有無についてお話していきます。