2020年はコロナ禍で、住宅ローンを払えない状況に直面した人が増えているようです。
住宅金融支援機構に寄せられる住宅ローンに関する相談件数は、2020年3月で214件、4月には1158件、5月は878件、5月末までの累計数は2265件に上りました。
「現在の収入でギリギリで住宅ローンの返済をしている」という状況の人でも、ケガや病気、職業の変化、離婚など世帯収入に変化があると、家計が困窮する可能性があるかもしれません。
住宅ローンは、30年、35年と長い期間にわたって組まれるものです。住宅ローンの契約当初には予想もしなかったことが、返済期間中に起こるかもしれません。
住宅ローンの負担返済比率は年収に対して20%前後以内が理想といわれますから、何らかの事情で「住宅ローンの負担返済比率が20%以上になっている」「住宅ローンの支払いがしんどい」と感じたなら、完全に払えなくなる前に対処しましょう。
今回は住宅ローンの返済が難しい場合の対策をお話します。
住宅ローンの支払いが1~2ヶ月滞ると、銀行や金融公庫といった金融機関から「期日までに未納金額と延滞損害金をお支払いください」という旨の督促状が届きます。
ここで支払いの見通しがつかない場合は、早急に対処することをおすすめします。
住宅ローンを1度でも延滞すると金利が跳ね上がることがあるからです。
通常、住宅ローンの金利は、金融機関の店頭で公表されている金利と比べて割安に優遇されています。ところが、住宅ローンを延滞するとその優遇が受けられなくなることに。
ローンの金利が跳ね上がると、返済総額が大きく変わってしまいますので注意が必要です。
この段階で適切に動くと、自己破産せずに対処できる可能性が高まります。
任意売却やリースバックなどを視野に入れて、金融機関や不動産会社に返済プランの見直しを相談しましょう。
その後、支払いの延滞が6ヶ月にもわたると「催告書」という最終通告が届きます。
催告書の内容通り入金できない場合、家が競売にかけられます。「約束のお金を支払ってもらいたい」と金融機関が裁判所に申し立てをし、裁判所がそれを受理すると、競売が執行されるのです。
競売にかけられると、家は差し押さえられ、自己破産の可能性が高くなります。
住宅ローンの支払いが滞ると、最悪の場合は競売にかけられ、強制的に住んでいる家から立ち退かなければならなくなります。早急に動いて、そうならないための対処をしましょう。
次に延滞をしていない場合についてお話します。
来月から支払う目途は付かないけれど、まだ延滞をしていない場合、まずはローンの返済プランと家計の見直しをします。
住宅ローンの返済相手である金融機関に相談して、返済プランの再検討をしましょう。一定期間の返済猶予や返済期間の延長など、月々の支払いを軽減できるかもしれません。
返済プランの再検討ができなかった、もしくは再検討をしても支払いの目途が付かなかった、ということであれば、家の売却を検討した方がよいかもしれません。
家の売却を検討する場合は、不動産会社に物件の査定をしてもらい、家の売却価格を試算します。家の売却価格よりローンの残高が低いなら、家の売却が経済状況の解決につながるかもしれません。
続いて現在延滞をしている場合についてお話します。
現在、既に売却価格より高いローン残高を滞納していて、返済する資金のあてがない場合は、任意売却という手段が考えられます。
任意売却とは、お金を借りている金融機関の合意を得て、家を売る方法です。競売と違い、任意売却は市場価格での売却が可能となります。場合によっては、引越し費用をまかなうことができます。
また、任意売却のほかに、リースバックという手段があります。
リースバックとは、不動産会社や知人などに家を買い取ってもらうのと同時に、賃貸という形で家をリースをしてもらう方法です。この方法なら、売却した家に賃貸物件として住み続けることもできます。
ローンの残債を返済するプランのリスケジュールの相談にも乗ってもらえるため、今後の生活の見通しが立ちやすいでしょう。
この段階で連帯保証人に通告されます。
任意売却ができない場合、一括返済や競売となります。競売になると、家は市場の7割程度ともいわれる割安価格で売られ、家が競売に出ていることが公になります。
競売の後も残債があり、返済不可能な場合には引越しの諸費用やローンの残債分を一括で用意しなければならなくなり、場合によっては自己破産を選ばなければならなくなるかもしれません。
自己破産をしないためにも、住宅ローンの返済が厳しいと感じた時点で対処することが大切です。