今回で3回目の任意売却についてのコラムです。
今回は任意売却の流れについてお話します。
①不動産会社に相談をする
任意売却を行いたい場合は、まず金融機関ではなく任意売却を行ってくれる不動産会社を探しましょう。
任意売却が売主の希望通りに行くかどうかは金融機関との交渉次第 。
理由によっては任意売却自体を許可してくれない場合もあるので、先に不動産会社に相談して作戦を立てます。
②不動産会社と面談・査定
不動産会社を見つけたら、不動産会社と面談を行い現在の状況を不動産会社に伝えます。月々の返済額はいくらか、現在ローンは滞納しているのか、マンションの場合管理費などは支払っているのか……。
詳細を伝えることで、不動産会社に売主に合った売却方法やスケジュール、金融機関との交渉内容を作ってもらいます。不動産会社によっては訪問面談も可能なので、不動産会社に連絡する際に確認すると良いでしょう。
販売価格を決めるために物件の査定を行ってもらいます。販売価格は売主だけでなく金融機関とも相談しなくてならないので、現実的な価格を決められるようにしておきましょう。
③査定結果報告・プランの提案
不動産会社の対応や査定に納得できれば、媒介契約を結びます。契約方法は1つの不動産会社と契約を結ぶ専任媒介か専属専任媒介のいずれか 。
面談・打ち合わせの内容をもとに不動産会社の担当からどの程度の価格で売却が可能か、どのようなスケジュールで売却するのがベストかといった提案がなされます。
④任意売却の手続き開始
債権者(金融機関など)から許可が取れたら、販売活動を開始します。通常の仲介販売と同様に物件情報サイトなどに掲載され、買主を募集します。
任意売却物件でも内覧可能なので、売主は買主の内覧が始まる前に家をきれいに掃除しておきましょう。任意売却物件なので、ハウスクリーニングなど入れる必要はありませんが、できる限り部屋を掃除しておくのは重要です。
⑤決済・所有権の移転~完了
買主が見つかり価格の合意などが得られたら、債権者(金融機関など)に購入申し込み書と売買代金配分表を提出。債権者に許可を得て買主への売却が可能になります。
債権者から許可を得たら、買主と売買契約を結びます。売却額や引き渡し日など問題ないか確認をし、契約書に印を押し、収入印紙を貼れば契約完了です。
契約が終了すれば、明け渡し日までに引っ越しとなります。買主との契約によって異なりますが、代金決済はおおよそ1ヶ月~1ヶ月半です。
任意売却後の残債はどうなる?
任意売却を行った場合、売却価格によって対応が変わり取る行動も違ってきます。「売却したあともローンが残る場合」と「売却金額でローンが完済できる場合」の2つのパターンについて考えてみましょう。
・売却したあともローンが残る場合
売却をしたあともローンが残り、残債ができてしまう状況のことを「オーバーローンである」といいます。
不動産を売ることとローンの契約そのものは全く別物で、住宅ローンは担保として不動産が指定されていますが、扱いは個別に解決していく方法が取られます。そのためローンの残額は不動産の売値に関わらず残ることになること。一見すると不動産だけを手放して、これからの生活が借金地獄になるように感じます。しかし任意売却の本来の趣旨は「債権を圧縮するための手段」と「貸し主側の不良債権化を避ける狙い」があるので、この点をしっかりを押さえて、粘り強く交渉することが大事です。
いずれにしてもしっかり不動産会社や銀行とタッグを組んで、良い信頼関係が築けていれば、問題の起こらないように滞り無くいろいろな悩みを解決できます。もしも、信頼関係が築けていない場合には弁護士を立てて話し合いをすることなども考えておかないといけません。
誠意ある対応でしっかりと話し合いができる環境であり、住宅ローンが明らかに生活を圧迫しているのであれば任意売却にも頼らず、なんらかの解決策を提示してくれることが多いので、まずは気軽に相談をしてみても良いでしょう。
・売却金額でローンを完済できる場合
売却価格がローンの残高を上回った場合、ローンを完済する事ができます。この売却後に残債がない状況を「アンダーローンである」といいます。任意売却においては非常にめずらしいケースですが、売却金額が残りのローンを上回るケースもあります。
大切なことは、任意売却と言えどプラス分のお金が入ります。今後の生活を考えたときに、1円でも高く売れる方法があるのなら知っておくのがベストです。売却金額は高ければ高いほどよいので、その分残債は減り、後々の負担が少なくて済みます。
そこで大事になってくる事は、信頼できる不動産会社を知っているかどうか、どれくらい付き合いが深いかに掛かっているということです。