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2020年度 宅建試験のカギを握る民法大改正

カテゴリ:不動産コラム
2020年4月1日に大きく民法が改正されました。
制定時から時代が変化しているために対応が難しくなってきたのも理由の1つです。




宅建士試験において民法の出題範囲は権利関係と呼ばれ、民法以外にも借地借家法や不動産登記法などがその範囲に含まれ、試験問題は全50問中14問あります。 

次に民法内における債権の出題割合に関しては、民法全体の約2,3割に相当し、権利関係全体で大きなウエイトを占めます。
実際に出題される債権の内容としては、債権譲渡・賃貸借契約など多くの項目があり、試験に合格するためには必ず理解しておく必要がある分野です。

本日は宅建士試験に出題される可能性がある民法の改正部分を抜粋して解説していきます。

・意思能力の瑕疵
改正前:条文規定なし(判例のみ)
改正後:条文化

これまで意思能力の瑕疵については、判例によって意思能力のないものが行った法律行為については無効とされてきましたが、今回の改正で正式に条文化されました。

・錯誤
改正前:条文規定なし(要件と判例のみ)
改正後:条文化

これまで錯誤の要件を満たせば契約は無効とされてきましたが、今回の改正では要件について条文化されたほか、効力についても無効から取り消しに変更されました。

・消滅時効
改正前:原則10年((例外として飲み屋のツケ1年・工事等の請負代金3年・商取引で発生した債権5年など)
改正後:➀権利を行使することができることを知ったときから5年間②権利を行使することができるときから10年間のいずれかが先に到達したとき
 
改正前は原則10年と定められていたものの、例外規定の年数がそれぞれ異なっていましたが、改正後は➀知ったときから5年、②知らなかったらその日から10年のどちらかに統一されました。また用語も時効の中断→時効の更新・時効の停止→時効の完成猶予に変更されました。

・債権譲渡
改正前:譲渡禁止特約
改正後:譲渡制限の意思表示(譲渡禁止特約が無効になった訳ではない)
 
改正後は譲渡禁止特約があっても債権を譲渡することが有効になりました。
ただし債権の購入者が悪意または重過失である場合に対しては拒絶及び弁済することができるなど、譲渡禁止特約自体が無効になったわけではありません。

・相続
➀配偶者居住権
改正前:制度化されず
改正後:制度化
 
配偶者居住権が制度化されることによって、配偶者が相続開始後終身に渡って無償で建物等を使用することができる権利を得るようになりました。

②遺言の第三者への対抗要件

改正前:遺言のみで対抗できる
改正後:遺言+登記で対抗できる
 
第三者に対抗するためには遺言のみでなく登記も必要になりました。

③遺留分

遺留分における遺留分減殺請求が金銭によって解決できるようになりました。

・保証人の保護
改定前:保証限度額の定めなし
改定後:連帯保証契約を締結するときは保証限度額を契約時に定めること

これによって連帯保証人の保証限度額を定めることができるだけでなく、契約書に限度額が未記載の場合は保証契約そのものが無効になります。

・賃貸借契約
➀目的物の返還義務

改正前:判例のみ
改正後:判例を条文化
 
②存続期間の延長

改正前:上限は20年
改正後:上限は50年
 
賃貸借契約に関しては判例が条文化されたり、上限数が延長された程度の改正となります。

・契約不適合責任
➀規定

改正前:特定物売買の場合は瑕疵担保責任・不特定物売買の場合は債務不履行責任が適用
改正後:瑕疵担保責任の廃止及び契約不適合責任を新たに規定

契約不適合責任は特定または不特定物売買に関係なく、目的物が契約内容にはく離している物に対して適用されます。

②それぞれの手段

改正前:解除と損害賠償のみ
改正後:上記に加えて追完請求と代金減殺請求が可能
 


宅建士試験の勉強方法において民法の条文を一字一句覚える必要はありませんが、改正後の名称変更やその条文が及ぼす効力についてはしっかりと抑える必要があります。
なぜなら設問によっては解答の正誤が従来と反対になるほど、大規模な改正を行っているのが理由です。

例えば瑕疵担保責任から契約不適合責任への名称変更や、錯誤の効力が無効から取り消しに変わったことなどを地道に抑えていく必要があります。

昨年度の改正点も出題される可能性があるのでしっかり確認しておくと良いと思います。



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