前回、抵当権のお話の中に「競売」という言葉が出てきましたが、今回は「競売」についてお話していきます。
「競売」とは?
競売とは、債権回収のために債権者が権利を行使して、債務者の所有する不動産を強制的に売却するよう地方裁判所に申し立てをしたうえで売却することをいいます。
手続きは法律(主に民事執行法)に基づき行われますが、債権者の権利行使の違いで強制競売と担保不動産競売の2種類があり、これらをあわせて競売とよんでいます。
一般的には「きょうばい」ですが、担保不動産競売などは法律用語としての「けいばい」と読みます。
強制競売とは、主に税金滞納者への処分として行なわれるもので、新聞広告でも見かける「競売物件」はこうした事例が多いです。
競売までの手順は下記の不動産競売と基本的に同じです。
担保不動産競売は、債権者(住宅ローンなら銀行などの金融機関)が債権回収のために、地方裁判所に申立てをし、担保になっている不動産を売却することを指します。
不動産関連のサイトでは、競売とい言えばこちらの不動産競売のことを意味します。
申立てが受理され競売が決定すると、まず査定が行われます。
これは不動産を調査し、価格を決める一連の作業のことで、裁判所の執行官が対応します。
査定により決定された最低売却価格で、数ヶ月後に購入希望者の募集が開始され、2週間から1ヶ月程度の期間を決めて入札を行います。
これを期間入札といい、入札は保証金を支払えば一般の個人も参加できます。
期間内に入札する人が現れなかった場合は「特別売却」といって先着順で落札になります。
この特別売却にも希望者がなかった場合、その回の入札は不成立となります(これを「不落(ふらく)」といいます)。
入札が不落になると、再度査定をして、最低売却価格を下げたうえで再び期間入札をします。期間入札は通常3回までが限度になっており、3回競売にかけても不落だった場合は競売中止となります。
過去にあった悪質な例では、不動産業者があたかも落札できる(「競落(けいらく)」といいます)かのように装って、あらかじめ一般人の購入希望者と売買契約を結んでおき、代金だけ詐取したこともあります。
正規の業者、正規の取引の場合問題はありませんが、競売ではこうした悪徳業者が暗躍しているので注意が必要です。