勧誘や訪問販売などで自分の意に反した契約や申し込みをしてしまったとき、その救済を図るために認められるのが「クーリングオフ制度」。
実は、不動産売買においてもこのクーリングオフ制度が利用できることをご存じですか?
契約相手や場所などの諸条件によって適用可否が決まる
私たちがよく知るクーリングオフ制度とは異なり、不動産売買時にこの制度を適用するにはいくつかの条件を満たす必要があります。
では、どんな条件があるのかご説明します。
条件①「売主が宅建業者、買主が一般ユーザーである」
そもそも、クーリングオフできる人とはどんな人でしょうか?
宅建業法によると、「宅地建物取引業者が自ら売主となって土地や建物を売買した場合における一般の買主」とあります。
これは、契約の相手が宅建業者でなければならないことを意味しています。
売主が個人の場合は適用されませんので注意が必要です。
また、一般の買主とは、買主が宅建業者ではない一般ユーザーであることを意味します。
条件②「宅地または建物の売買契約である」
不動産売買と一口に言っても、具体的にはどんな不動産がクーリングオフの対象になり得るのでしょうか?
この場合は、宅地や建物はもちろん、山林や農地、駐車場であっても宅地とみなされて対象となります。
条件③「契約場所が、宅地建物取引主任者を置くべきとされる場所以外である」
ちょっと難しい言い方ですが、つまりは、売主である宅建業者の事務所、売主代理の宅建業者の事務所、モデルルームなど、宅地建物取引士が常駐している場所で契約した場合はクーリングオフ制度が適用されません。
売主側には不備がないにもかかわらず、消費者側の勝手で不動産売買契約を破棄されてしまっては大変ですね。
そのため、宅建業者が不在の、契約場所としてはふさわしくないと判断される場所で締結された契約のみがクーリングオフの対象となります。
ただし、買主側の都合により、買主の自宅や勤務先へ売主を呼びつけて契約した場合は、例え場所が自宅や勤務先であってもクーリングオフはできません。
条件④「クーリングオフについて説明を受けてから8日間以内である」
この8日間とは、不動産売買の申し込みや契約締結をした日からの期間ではなく、宅建業者から「申し込みの撤回や契約解除を行うことができる旨とその方法等」を告げられた日から8日間(告げられた日を含む)であることを指します。
ただし、この期間内に宅地または建物が引き渡しを受け、かつ、代金を全額支払っていた場合はクーリングオフの対象外となるので注意しましょう。
不動産の売買契約の他にも共通して言えますが、クーリングオフは8日以内に書面で行います。書面とは、ハガキ、封書、内容証明郵便、FAXなどを指しますが、「書面を送った」「書面は受け取っていない」といった後々のトラブルを避けるためにも、相手に配達されたことが証明できる「内容証明郵便」を利用するといいでしょう。
クーリングオフが無事に適用されると、売主がすでに受け取っていた手付金や申込金があった場合は、買主へ全額返還されます。
万一のときに備えて不動産売買におけるクーリングオフ制度について知っておくと安心です。