今回は前回に引き続き住宅ローンの金利についてお話していきます。
不動産担保ローンの金利にはいくつかのタイプがあります。
大別すると「固定型」と「変動型」、そして「固定期間選択型」の3つの種類があります。
住宅ローンを借りた経験のある人ならわかると思いますが、いずれも住宅ローンで使われているタイプで、基本的な仕組みは同じです。
それぞれのタイプを簡単に説明すると、まず、固定型は、ローンの返済が終了するまで当初の金利が変わりません。
変動型は、あらかじめ決められたタイミングで金利が見直される、というものです。さらに、固定期間選択型は、「10年固定」といったように一定期間金利が固定され、その期間が終了したあとは変動型に移行します。
ただし、不動産担保ローンの場合、住宅ローンと大きく違う点があります。
不動産担保ローンを提供している金融機関が、すべてのタイプを取り扱っているわけではないことに注意が必要です。
3つのすべてをラインナップしている金融機関もあれば、固定型あるいは変動型のどちらか1つだけ、というところもあります。
また、短期間のローンでは固定型、長期間にわたる融資は変動型と、ローンの期間によってタイプが変わるところもあります。
複数の金利タイプを取り扱っているのは、おもに地方銀行やネット銀行になります。
こうした金融機関の不動産担保ローンは、「フリーローン」という名称がついていても、事業性資金や借り換えのための資金としては利用できないところが少なくありません。
一方、不動産担保ローンをメインに提供しているノンバンクは、固定型か変動型のどちらかのタイプのみの取り扱いとなっている場合が多く、ローンの使途は事業性資金や借り換え用であってもOKとしているところがほとんどです。
したがって、ノンバンクの不動産担保ローンの利用にあたっては、金融機関を申し込んだ段階で、固定型になるのか変動型になるのかが決まることになります(固定型と変動型の両方を取り扱っているノンバンクもありますが、借りる人が選べるというわけではなく、審査によって、金融機関が決めるという仕組みになっているようです)。
固定型の不動産担保ローンは、金融機関が審査の結果によって設定する当初の金利が、返済終了まで続くことは、今までお話したとおりです。
そして、変動型についても、金利は審査によって決定されますが、その際、基準となる金利が存在します。
それが「短期プライムレート」です。
短期プライムレートとは、「最も信用力が高い企業向けの最優遇貸出金利」のことで、銀行が企業に対して融資をするときの基準となる金利です。
通常、銀行は企業向けの融資を行う際、短期プライムレートをベースとして、融資先企業の信用力に応じて金利を上乗せします。
この方式は銀行だけでなく、他の金融機関でも広く用いられており、個人の住宅ローンの変動型にも使われています。
この短期プライムレートの指標となっているのは、メガバンクが公表しているもので、2019年3月時点では、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行のいずれも年1.475%に設定しています。
実際の融資は、この年1.475%に、企業の信用力に応じて金利が上乗せされます。
また、不動産担保ローンの場合は、融資先の信用力に加え、担保となる不動産の価値によって上乗せされる金利が決定されることになります。
本来、短期プライムレートは金融市場の動向によって毎月変動します。
そして、短期プライムレートに連動する変動型ローンでは、あらかじめ決められたタイミングで金利の見直しを行い、その時点の短期プライムレートの水準によって、それ以降の金利が決まります。
金利の見直しのタイミングは、住宅ローンを含めて、「半年ごとの年2回」とするのが一般的となっています。
実は、現在の短期プライムレートは、2009年1月分の金利と同じ水準で、それ以降は変わっていません。
その最大の理由は、日本銀行の政策金利が極めて低い水準に維持されていることにあります。
日銀の政策金利は、2008年12月より、年0.1%に設定されたままになっているのです。
そのため、金融市場では多少の金利の変動は日々ありますが、短期金利から長期金利まで、総じて国内金利は低位安定が続いているのです。
変動金利の今後の見通し
金融市場では、当面、日銀の金融政策に変更はなく、国内金利の水準は現状維持が続くという見方が優勢です。
したがって、しばらくは短期プライムレートも現在の低い金利が続くと見てよさそうです。
しかし、借入期間が10年、20年と長期にわたる場合、将来的に金利が上昇する可能性はあります。
変動型で借り入れる際は、そうした将来の金利上昇の可能性を念頭に入れておくことを忘れないようにしましょう。