住宅ローン減税が2022年に改正されると、住宅ローンの借り方が以下のように変わる可能性があります。
① 全期間固定金利を選択する人が増える
全期間固定金利とは、住宅ローンの金利が固定されており完済まで変わらない金利タイプです。全期間固定金利で住宅ローンを組むと、返済途中で市場の金利が上昇しても、毎月の返済額や利息額は変わりません。
全期間固定金利型は、2021年12月現在1%強です。民間の金融機関と住宅金融支援機構が提供している「フラット35」は、1.33%〜となっています。※融資率9割以下 新機構団信に加入の場合
全期間固定金利型は、返済負担が変わらないという点が安心である一方、返済負担が変動金利よりも重くなります。そのためか住宅ローンを借り入れた人のうち、変動金利を選択した人が約6割もいるのに対し、全期間固定金利を選んだ人は1割強にすぎません。
住宅ローン減税が改正された場合、金利が基本的に1%を超えている全期間固定金利型で借り入れると、控除額が「年末残額の1%」となりやすいです。変動金利よりも節税効果を得られる可能性があるため、全期間固定金利で借り入れる人が増えると予想されます。
② 団体信用生命保険の保障を手厚くする人が増える
団体信用生命保険(以下、団信)とは、 住宅ローンを借り入れた人が亡くなったときや所定の高度障害状態になった場合に、残債が0円となる保険です。
銀行で住宅ローンを借り入れる場合、団信への加入が借入条件である代わりに、多くの場合で保険料は金融機関負担です。
団信は、特約を付帯することで死亡と高度障害に加えて、がんや三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)なども保障の対象にできます。団信に特約を付帯する場合は、住宅ローン金利に0.1〜0.3%程度を上乗せする形で保険料を支払うのが一般的です。
住宅ローン減税が改正された場合、特約の保険料を税金の還付という形で取り戻せる可能性があるため、団信に特約を付帯して保障を手厚くする人が増えると考えられます。
③ 保証料を金利上乗せで支払う人が増える
保証料とは、保証会社に対して支払う手数料です。住宅ローンの返済を長期間にわたって滞納すると、保証会社が金融機関に残債を一括返済(代位弁済)します。
しかし保証会社が、住宅ローンを代位弁済したからといって、住宅ローンを借り入れた人の返済義務がなくなるわけではありません。保証会社は、滞納した人に対して残債の返済を求め、応じない場合は担保としている物件を差し押さえて競売にかけます。
保証料は「住宅ローンの借入時に一括で支払う」もしくは「住宅ローンの金利に0.2%を上乗せして支払う」のどちらかで支払います。
住宅ローン減税が改正された場合、金利に上乗せして保証料を支払うことで控除額を増やせる可能性があります。そのため保証料を一括で支払うのではなく、住宅ローンの金利に上乗せして支払う方が増えると考えられるのです。
以上のように住宅ローン減税は、2022年(令和4年)に改正され、控除額の計算方法が「年末時点の借入残高の1%」と「年間支払利息」のどちらか低い金額になる見通しです。予測通りに改正されると、住宅ローンの借り方も変わる可能性があります。