みなさんは「実印」や「印鑑証明書」を用いた取引を経験したことはありますか?
不動産に関する契約、売買やローン、相続など、重要な契約を結ぶ際には「実印」による捺印が必要になってきます。
昨今では新型コロナウイルスの影響もあり、各種契約のペーパーレス化の流れが加速してはおりますが、
当面の間、日本国内の契約においては印鑑による契約が続くと思います。
今回は「実印」と「印鑑証明書」についてお話します。
印鑑登録とは、15歳以上の方がハンコ(印鑑)を役所に登録しておくことで、
「自分だけの印鑑である」ことを証明できる制度です。
印鑑登録証明書(印鑑証明書)とは、登録された印鑑が本物であることを証明する書類です。
不動産の売買やローン契約、遺産相続等、重要な契約を結ぶ時には、実印による捺印と印鑑証明書の提出を求められます。
※自動車の売買でも、実印が求められるケースがあります。
特に不動産の売買においては、所有者が売主として所有権移転登記手続きをしようとする場合には、
発行後3ヶ月以内の印鑑証明書を提出することが義務付けられています。
印鑑証明書は、本来、本人しか所持し得ないものですので、登記申請に際して、売主が間違いなく登記の意思を有することを判断する重要な材料となります。
一般的に不動産売買による所有権移転登記においては、登記実務専門家である司法書士が売主より以下の書類をお預かりします。
①登記権利書(登記識別情報通知)
②印鑑証明書
③実印と押印した委任状
これらに合わせて直接本人確認(公的身分証明書との照合と、直接意思確認)を行うことで、売主本人の意思にそぐわない虚偽の登記を防止すると共に、登記の真正担保(登記が間違いないものであると裏付けること)に役立てられています。
しかし、数年前に登記関係書類及び本人確認書類が偽造され、大手ハウスメーカーが63億円をだまし取られた事件は今も記憶に新しいところです。
このような詐欺事件を再び発生させない為にも司法書士はこれまで以上に、
・実印と印鑑証明書(他の書類も同様ですが)が真正なものであるかを確認
・印鑑証明書を持参し、かつ委任状を記された方が、
確かに売主ご本人であることを公的身分証明書との照合で確認
・売主の公的身分証明書の写しを提出して頂く
という手続きを徹底して行っています。
一見すると原始的で、アナログな作業を要するこのような手法ですが、確かな不動産取引を行うために、これまで以上に重要なプロセスになってきています。