不動産物件を探していると時々見かける「未入居」。
中古物件のカテゴリーで出てくるキーワードですが、人が住んでいないのに中古物件?と疑問に感じる方もかられるかもしれません。
今回は未入居物件の定義やメリット・デメリットをお話します。
未入居物件とは、建物の完成後、誰も住まないまま1年経過した物件を指す言葉です。
実は、新築物件と名乗るには、「建物の完成から1年以内」かつ「誰も住んだことがない」という条件を満たす必要があります。
これは品確法と呼ばれる「住宅の品質確保の促進等に関する法律」と、「不動産の表示に関する公正競争規約」で定義されているもので、不動産広告もすべてこの定義に準じなくてはなりません。
つまり、誰も住んだことがなくても、完成から1年以上経過した物件は「新築」という扱いができなくなるのです。
それでは、建物の完成後すぐに購入し引っ越しをしないまま半年で売りに出したといったケースはどうなるのかというと、この場合は新築物件として扱われることになります。
新築物件の「建物の完成から1年以内」かつ「誰も住んでいない」という条件を満たしているためです。
ただし、新築物件の条件を満たしている場合でも、持ち主が物件をリフォームした場合は、中古物件として扱われることになります。
例えば、壁紙の色が気に入らなかったので引き渡し後に張り替えたが事情ができて入居直前に手放すことになった、といったケースでは、中古物件扱いとなるようです。
続いて未入居物件のメリットをお話します。
中古物件扱いとなる未入居物件は、新築物件と比較して価格が下がる傾向があります。
人が住んだことがなく、実質的には新築同然の物件を安く購入できるというのはお得感がありますね。
また、値引き交渉をしやすいという傾向もありますので、場合によってはさらにお得になるかもしれません。
次に未入居物件のデメリットをお話します。
新築物件対象の減税措置が受けられません。
新築物件は「所有権移転の登録免許税」「固定資産税」が軽減されるなど税制面でもメリットがありますが、中古である未入居物件には適用されません。
また、建物完成後1年以上が経過していることで、物件に傷みが生じている可能性があります。
人が住まない建物は傷みが早いという話もありますが、定期的な換気など管理がきちんとされていない物件の場合は、カビが生じてしまったりするケースもあります。
物件の見学時にしっかり確認することはもちろんですが、場合によってはホームインスペクション(住宅診断)を実施する必要があるかもしれません。
そして、未入居物件は中古物件扱いとなるため、新築物件が対象となる「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の適用が義務付けられていないため、物件の品質保証がないケースがあります。
例えば、住宅メーカーから新築で購入した物件の場合は、売主である住宅メーカーが10年間の保証を負います。
これにより、雨漏りなどが生じた場合、住宅メーカーに修理を請求することができますが、そのような保証がない物件の場合は、購入者が自分で修理する必要があります。
ただし、現在の不動産市場では、物件の商品価値を上げるために、新築と同様の10年保証がついていることがほとんどだと思います。