これから中古マンションを購入する人や、築年数の古いマンションに住んでいる人は不安に感じると思います。
マンションは管理状況によって寿命が大きく変わるのですが、参考になるのが一番長く63年存在した「宮益坂ビルディング」というマンションです。
半世紀前の建物で63年ですから、現在の技術をもって作られたマンションを適切にメンテナンスすれば、100年近く持つ可能性は十分にあると思います。
国土交通省の「中古住宅流通促進・活用による研究会」の報告書によれば、鉄筋コンクリート造のマンションは理論上は120年、外装仕上げによっては150年持つとされています。
ただし、マンションの寿命は、一概に「○〇年」とは言えません。
マンションが建てられた時代によって法律や建築技術が違うため、建築年数によって寿命もさまざまです。
また、同年代に建てられたからといっても、構造、規模によっても異なります。
そして、マンションの寿命が来たために、建替えや取り壊しを実施したという実例の少なさも、マンションの寿命を定義づけられない一因となっています。
日本でマンションの普及が始まったのは1970年代頃からです。現在では、築50年を超えるようなマンションがまだ、あまり存在していません。
国土交通省が発表した、平成25年度までに建替えを完了したマンションは、わずか296戸です。
それでは、マンションの寿命は30年~40年となるのかというと、それは違います。
日本の高度成長期やバブル期には、たくさんのマンションが建設され、それらのマンションは築30年~40年ぐらいで今もたくさん存在します。
それらのマンションすべてが建替え時期を迎えているというわけではありません。
建替えは、コンクリートの劣化や設備の劣化、配線などの劣化など、さまざまな要因から行われるものです。
また、エレベーターがない、土地の大きさに対する戸数の少なさなど、建物自体の劣化以外に利便性の低さや土地の有効活用などから建替えを実施するケースもあります。
建替実施数が少ない要因は、「建替時期を迎えていない」というだけではありません。
建替えたくても建替えできないマンションが多くあります。
次回はなぜ建替え実施数が少ない理由をお話します。