先日、とある相談を受けました。
「大家さんから更新の連絡が来なかったこともあり、更新のことをすっかり忘れてしまってそのまま住み続けたら、1年後に更新手続きの連絡と契約更新料の請求が来ました。
こういうときは、どうすればいいのでしょうか?」という相談です。
更新の請求が来なかったから更新手続きをしないまま住み続けた、という点については全く問題ないといえます。「借地借家法」という賃貸全般に適用される法律には、「(更新に関する)通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす」と規定されています。
これを法定更新と呼びますが、法定更新後は契約期間が無期限になるという特徴があることを知っておきましょう。
法定更新後に、改めて契約の更新手続き(合意更新)が来た場合は、更新してもしなくても構いません。その際、契約内容はしっかりと確認しておきましょう。納得がいかなければ、サインせずに退去することもできます。
なお、合意更新と法定更新では「解約申し入れ期間」が異なるのには注意してください。通常の賃貸契約では、入居者からの解約申し入れ期間は1ヶ月前となっている場合が多いのですが、法定更新では強制的に3ヶ月前に変更されます。つまり即日退去したかったら、3ヶ月分の家賃を支払わなければなりません。
大家側からの解約申し入れ期間も6ヶ月から3ヶ月に変更されますが、こちらの方は正当な事由がなければ解約は認められないという点は通常の解約と同じです。
また、法定更新から1年後に更新料の請求が送られてきた場合、無期限の契約となったのに更新料を支払わなければいけないのかについては、裁判でも結論が分かれていて確定していません。
よって、場合によっては更新料を支払うよう訴えられる可能性がありますので、面倒を避けたければ払った方がよいでしょう。ただ、もし契約書に「法定更新でも更新料が発生する」との記載があれば、当然ですが払う義務があります。