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家庭用太陽光発電はやめた方がいい?

カテゴリ:不動産コラム
家庭用太陽光発電はやめた方がいいか?




今から家庭用の太陽光発電を設置するのは、結論から言うと「お得」です。

今回は過渡期を迎えている太陽光発電について、改めて設置のメリット・デメリットをお話します。


2009年から始まった電力の固定価格買取制度(FIT)によって「売電ブーム」でしたが、2019年から順次FITの売電期間が終わっていきます。

この太陽光発電の「2019年問題」もあり、一時期の盛り上がりに比べると将来の見通しが暗くなっているようにも思えます。

では、なぜ今から太陽光発電を設置するのが「お得」なのでしょうか?
それは2019年に「卒FIT」する家庭があふれることに備えて、あらかじめ次の一手が考えられているからです。

キーワードは「蓄電池」です。

まずは基礎知識として、太陽光発電の仕組みについてお話します。
とても簡単に表現すると「屋根の上に設置したパネルに太陽の光を集めて電気に変えている」というのが太陽光発電です。

太陽の光を集めるところまではなんとなくイメージできそうですが、その光を電気に変える
システムまでは分かりにくいかもしれませんね。
いくつか装置があるので簡単に説明します。

ソーラーパネル   
屋根の上に設置して太陽の光を集める装置 ・ソーラーパネルの格子状に見える部分(=モジュール) ・モジュールを構成するさらに小さなパネル(=セル)

パワーコンディショナー  
ソーラーパネルで集めた光(直流電流)を家庭で使える交流電流に変換する装置

分電盤  
交流電流を電気機器ごとに振り分ける装置

電力メーター  
外部の電線とつながっていて流れる電気の量を計測する装置 ・家庭から電力会社へ売る電気の量(=売電量) ・電力会社から家庭が買う電気の量(=買電量)

蓄電池 (オプション)  
発電した電気を貯めておく装置 貯めた電気は夜間や災害時に使うことが可能 太陽光発電はこの装置がなくても可能(取り付けは任意)

この様な装置を使って以下の太陽光発電が行われています。
 ①ソーラーパネルに太陽の光を集める
 ②集めた光(直流電流)をパワーコンディショナーで交流電流に変換する
 ③交流電流を分電盤で電気を使う機器へ振り分ける


実際に太陽光発電の設置費用はいくらかかるか?

太陽光発電の設置費用は取り付ける家の形状や機器メーカーによって異なりますが、概ね100万円〜250万円(※)くらいが目安となっています。
※この費用には、太陽光発電に必要な機器代金だけではなく、設置するための工事費も含まれています。

太陽光発電の費用と聞くと、「ソーラーパネルの購入費」だけが思い浮かぶかも知れません。
しかし、実際にはソーラーパネルを設置するための架台や、各種機器を接続する大掛かりな工事なども同時に必要なのです。

この設置費用に関しては、メーカーや工事業者によって数10万円〜100万円くらいの差が出る場合もあります。
そのため、複数の業者さんへ見積もりを出してもらってから決めるのが定石です。

太陽光発電の設置で、補助金は出るのか?
このように太陽光発電の設置費用は高額となるため、補助金や助成金が出るのであればぜひ活用したいですよね。

ただ、国からの補助金は2013年度末で終了しているため、現時点で補助金がもらえるとすれば、都道府県や市区町村などの自治体が個別に用意しているものに限られます。
自治体ごとに補助金の額やもらえる条件は異なりますので、自分が住んでいる地域の情報を事前にしっかり確認しておきましょう。

最近では、太陽光発電の補助金として「蓄電池」に関するものが設定され始めています。
これも詳細は自治体ごとに異なりますが、以下のケースが多いようです。
・太陽光発電を行っている家庭が蓄電池を設置する場合
・新たに太陽光発電+蓄電池を導入する場合

そして、いま大注目なのが2019年4月に発表された「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」です。
なんと、補助金額は最大60万円!ただし、予算の38.5億円がなくなり次第終了します。

これは、災害のときに使える家庭用の蓄電池を設置すると補助金が出る制度で、太陽光発電も設置されていること(または、これから同時に設置すること)が条件に入っています。

また、太陽光発電は余った電力を売電できます。
気になる販売価格をお話します。

この売電においては、2009年から開始された「FIT(固定価格買取制度)」が非常に重要なポイントになります。

太陽光発電によって発電した電力は家庭用に使用しますが、余った電気を蓄電池に貯めておくことで、電力会社へ販売することもできるのです。

FITは、この電力会社への売電価格を一定期間、固定とすることを定めた制度です。

家庭用の太陽光発電(10kW未満)であれば2019年度の申請で、1kWhあたり24円〜26円が10年間継続されます。
売電価格が固定されることによって、太陽光発電の初期費用の回収までに掛かる年数がシミュレーションできるため、FITは太陽光発電の推進に大きく寄与しています。

太陽光発電で売電するには「蓄電池」が必要です。
太陽光発電の売電は、発電した電力を家庭で使い、余った分を「貯めておく」ことで電力会社へ販売する仕組みです。
この「貯めておく」ために必要になるのが蓄電池なのです。

蓄電池には電極(プラスとマイナス)や電解液(電極をつなぐ液体)によって、以下の種類があります。

・リチウム電池
・ニッケル水素電池
・鉛蓄電池
・NAS電池

現在主流になっているのは、リチウム電池です。
リチウム電池はスマホや電子機器にも多く使われており、世界中で普及が進んでいます。


太陽光発電の売買価格(販売価格)について、FIT(固定価格買取制度)を使ったシミュレーションをしてみます。

まず、年間の予想発電量は以下の式で求めることができます。

年間予想発電量 = システム容量 × システム容量1kWあたりの年間予想発電量
概算値として、「システム容量1kWあたりの年間予想発電量」を東京の1,000(kWh / 年 / kW)を使って計算します。

設置場所 東京
システム容量 4kW
システム容量1kWあたりの年間予想発電量 1,000kWh / 年 / kW
年間予想発電量 4,000kWh / 年

売買価格は以下の式で求めることができます。

売買価格(円)= 売電単価(円)× 発電量(kWh)
売電単価はFITで2019年度に適用されている「1kWhあたり26円」とします。
※FITの買取価格は2019年8月時点の情報です。最新情報は経済産業省・資源エネルギー庁HPをご参照ください。

これにそって計算すると、月々の売買価格は約8,867円となります。

売買価格 = 26円 × 4,000kWh ÷ 12ヶ月 ≒ 8,667円
このように算出した売買価格をベースに、初期費用や補助金などを考慮して、太陽光発電の導入を検討していきましょう。



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柳田 直喜

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