不動産に関わっているとよく耳にする「掘り出し物件」。
買う側としては、良い物件が安くて、まだ誰も購入していない掘り出し物件をイメージしますよね。それが当然あるものだろうと思ってしまいます。
しかし、不動産が隠しているわけでもなければ、実際に掘り出し物件がないわけではないんです。それがなぜ市場に出回らないか?それには、こんなカラクリがありました。
今回は、不動産を購入しようと考えている人がどういった方法で情報収集をすればよいか?なども含めて、掘り出し物件市場に出回らない裏話を紹介していきます。
そもそも掘り出し物件とはどういったものを指していると思いますか?
具体的にいうと、
・安い
・特典がついている
・何も怖くない(事故や自殺などの事故物件ではなく、暴力団事務所が隣にあるでもなく、オーナーが怖い人でもなく、汚染地域でもない・・・)
・なおかつ誰も購入していない
そんな良い物件を「掘り出し物件」だというのではないでしょうか?
不動産に従事していると誰もが何度かは聞かれたセリフだと思います。「掘り出し物件、紹介してよ!」と。
そんなに気軽に聞くものではありません。
なぜなら…掘り出し物件など絶対にないからです。
断言します。
掘り出し物件なんて、回ってきません!
掘り出し物件などないのです。
賃貸だとしても、購入だとしても、それを貸したい人、売りたい人がいます。
そちら側から考えればわかると思いますが、「うちは儲かってるから特別価格で良いよ」というはずがありませんよね。
少しでも多く、1円でも高くしたい気持ちしかありません。
もっとわかりやすい例でお話します。
売りたいオーナー(A)と営業マン(B)の関係性についてです。
売りたいオーナーAは、営業マンBがしっかり営業をがんばってほしいですよね。
そのために、「転売(又貸し)」を提案したとします。
【賃貸の場合】…少しの損になっても、家賃収入がしっかり入ってきてほしい、だからちゃんと営業してもらえるように、不動産屋さん側にも得がある話にする。
A「家賃相場10万円だから、7万円でBに貸すよ。10万円で入れば3万円入ってくるでしょ」
B「(そしたら何もせずに毎月3万円…!おいしい…!)」
【売却の場合】…仮に、半額でも売りたい!という素晴らしい売主が出てきたとしても、先に不動産会社が購入してしまって、売りに出されるのは相場価格。
A「5000万円の物件、半額でもいいから売ってよ」
B「(会社で2500万円で購入して、5000万円で売れば粗利2500万円…!!おいしい…!!)
当社で購入しますよ!」
どっちに転んでも、市場に掘り出し物件が出てこないはずですね。
不動産の流れにおいて、市場に出回るときは購入希望者が最後(エンドユーザー)です。
それまでに不動産会社と売主のやり取りがありますから、お得だとわかる物件は先に不動産会社が購入してしまいます。
売主にとっても不動産会社にとってもメリットのある取引がされてから、その網に引っ掛からなかった「普通の物件」が市場に流れてくるのです。
これが、掘り出し物件がないといわれるカラクリです。