不動産の評価や取引を行うときには、その土地の正しい形状や面積を把握することが重要です。
そのためには、土地の図面が必要となりますが、図面にはいろいろな種類が存在し、その信頼性もまちまちです。
そこで、いろいろな種類の図面について、その特徴をお話します、
「法14条地図」と「公図」
土地は元々ひとつながりであり、境界は人間が人為的に設定したものですから、物理的に目に見えるものではありません。
そこで、その土地がどのような位置にどのような形状で存在しているのかを明らかにするために、不動産登記法14条により「登記所には地図を備え付けるものとする」と定められています。
これによって作成された地図が「法14条地図」です。
「法14条地図」は精度の高い地図であり、土地の境界が分からなくなっても、地図から境界を復元することが可能です。
しかし、地図を作成するための「地籍調査」は昭和26年から行われていますが、平成28年度末時点における進捗率は52%にとどまっています。
特に都市部においては24%しか「地籍調査」が進捗していません。
そのため多くの法務局では、「地図」が備え付けられるまでの間、「地図に準ずる図面」として「公図」が備え付けられています。
「公図」は、明治時代の地租改正事業により作成された「旧土地台帳附属地図」を引き継いだものが使われていおり、測量技術の未発達な時代に作成された地図ですから、精度や正確性には劣るものです。
土地の筆ごとの地番が記載され、一般的には、おおまかな形状や位置関係を確認するものとして用いられています。
しかし、実際の形状と大きく異なっている場合や、隣地との整合性が合わない場合(公図混乱地域)も珍しくありません。
また、広義の意味では、法務局に備え付けられている図面ということで、「地図」と「地図に準ずる図面」を合わせて「公図」と呼ばれることもあります。