市街化調整区域の意味合いについては知っているという人もいると思いますが、市街化調整区域は原則的には「市街化を抑制する区域」であり、農林漁業を営む人の住宅など一定の建築物を除き、一般の人が住宅を建てることはできません。
しかし、都市部近郊にも市街化調整区域に指定されているエリアが多くあり、そこには法律が適用される以前から建っている住宅も少なからず存在します。
後からできた法律によって個人の権利を否定し、「今後は建て替えなども一切認めません」というのは不合理です。
そのため、従前から住宅が建っていた宅地などでは、一定の要件に該当する建物であれば都市計画法による許可がなくても、通常の建築確認手続きだけで新築や増改築を認めていました。
これが「既存宅地」の制度です。
既存宅地であることの確認を受けた土地では、一定の用途や規模などに合致するかぎりは建築確認を受けられたため、(価格評価は別として)通常の中古住宅や土地と変わることなく売買されていました。
ところが、都市計画法の改正(2001年5月18日施行)によって「既存宅地」の制度が廃止され、従前から住宅が建っていたような宅地でも、都市計画法第43条の許可を受けなければ新たに建築などができないことになっています。
ただし、改正法の施行日以前に「既存宅地であることの確認」を受けた土地などでは、それから5年間に限り都市計画法の許可を不要とする特例措置がとられています。
「2001年5月17日以前」に既存宅地であることの確認を受けているなら、まだ都市計画法の許可を経ずに住宅を建築できる可能性もありますが、不動産会社の営業マンが法改正の中身を理解しないままで、その土地を紹介していることも考えられなくはありません。
実際にはどうなのか、しっかりと説明を受けるようにしてください。
※既存宅地に関する特例措置の適用期間はすでに終了しています。
しかし、既存宅地制度の廃止によって市街化調整区域内では一般の住宅をまったく建築することができなくなったのかといえば、決してそうではありません。
次回にこのお話の続きをお話したいと思います。