住まいを購入すると、新築・中古に関わらず税金がかかります。
いつどのような税金を、いくら支払う必要があるのか。資金計画を立てる際には税金も考える必要があります。
その中の一つに、土地や建物の購入や贈与、住宅の新築などにより不動産を取得した際、一度だけ課税される「不動産取得税」という税金があります。
本日はこの不動産取得税についてお話していきます。
不動産取得税は、各都道府県に申告・納税を行う地方税です。
課税対象となるのは、新築や増改築、売買、交換、贈与によって取得した不動産で、有償・無償、登記の有無に関わらず課税されます。
ただし、課税標準となるべき額が次の金額未満の場合、不動産取得税は課税されません。
・価格が10万円未満の土地を取得した場合
・家屋の新築、増改築にかかった金額が23万円未満の場合
・売買、贈与などにより取得した家屋の価格が12万円未満の場合
例外として、10万円未満の土地であっても取得した日から1年以内に隣接する土地を取得した場合、及び上記のような家屋を取得した日から1年以内にその家屋と一構えとなるべき家屋を取得した場合は、不動産取得税が課されます。
不動産取得税は、課税標準額に税率を掛けて計算されます。
課税標準額とは取得した不動産の価格のことで、固定資産評価証明書に記載された「固定資産課税台帳登録価格」を指します。
不動産取得税の標準税率は4%ですが、特例により以下のとおり軽減税率が適用されます。
家屋(住宅用)、土地:3%(2021年3月31日まで)
住宅以外の土地:4%
これだけだと分かりづらいので実際に、評価額1,000万の家屋(90平米)と2,000万円の土地(100平米)について、不動産取得税を計算してみます。
<家屋>
1,000万円×3%=30万円
<土地> 2,000万円×1/2×3%=30万円
家屋と土地で合計60万円もの不動産取得税が課税されます。
不動産を購入するとこのように不動産取得税を納税しないといけません。
このように高い税金を納付しないように「軽減措置」があります。
続いて軽減措置についてお話していきます。
●新築の住宅を取得する場合
適用条件:
1.土地を取得して3年以内
2.床面積50平米~240平米以下
<家屋>
(課税標準額-[控除額]1200万円*)×税率3%
*長期優良住宅の場合、控除額は1300万円となります。
<土地>
課税標準額×1/2(※特例)×税率3%-[控除額]
※2021年3月31日まで適用されます。
[控除額]は下記(1)・(2)のいずれか多い方となります。
(1)45,000円
(2)(1平米当たりの固定資産評価額×1/2)×(床面積×2)×3%
※床面積は200平米を上限
●中古住宅とその敷地を取得した場合
適用条件:
1.自己居住用またはセカンドハウス用
2.土地の取得前後1年以内
2.床面積50平米以上240平米以下
3.昭和57年1月1日以降に新築されたもの(あるいは新耐震基準に適合していると証明されたもの)
算定方法は新築住宅の場合と同様ですが、新築した年によって控除額が異なりますので各都道府県で確認して下さい。
この軽減措置を上記で計算した、評価額1,000万の家屋(90平米)と2,000万円の土地(100平米)について、不動産取得税を再度計算してみます。
<家屋>
(1,000万円-[控除額]1200万円)×3%=0円
<土地>
2,000万円×1/2×3%=30万円
※[控除額]を計算します。
(1)45,000円
(2)(※20万円×1/2)×(90平米×2)×3%=54万円
※2,000万円/100平米で1平米あたりの評価額が出ます。
30万円-54万円=0円
このように不動産取得税はかからないという結果になりました。
また不動産取得税の還付を受けるには、不動産を取得した日から概ね10~60日以内に、土地・家屋の所在地を所管する税事務所等に申告します。
申告期限や手続き方法、必要書類等については各都道府県によって異なりますので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
申告した後、半年から1年の間に管轄の税事務所から納税通知書が送付されてきますので、不動産取得税を納めます。
税事務所や金融機関の窓口の他、コンビニやオンラインでの納付も可能です。
軽減措置を受ける場合の手続き方法も各都道府県によって異なりますから、注意が必要です。
不動産取得申告書と併せて軽減措置の手続きを行う場合もあれば、納税通知書が送付されてきてから必要な書類を準備し、納付後に還付を受ける場合もあります。
納税義務があるにも関わらず申告をしなかった場合や、期限を過ぎてしまった場合でも、納税通知書はきちんと送付されてきますが、減税や還付の申告については納税者自身で手続きを行わなければ、通知されることはありません。
また、住宅購入には大きなお金が動きます。
その際、「それに伴う税金の存在を忘れていた」という人は意外と多く、納税通知書を見てその金額に驚く人も少なくありません。
不動産取得税の計算の根拠となる「課税標準額」は固定資産税評価額から算定されますが、固定資産税評価額は各自治体によって算出されるため、土地や建物を取得する前の時点では正確な金額はわかりません。
ただし、一般的に土地の固定資産税評価額は時価(実際に取引されている価格)の7割程度、建物は購入価格の6割程度と言われています。
今回の例のように、控除がなければ高額になる不動産取得税も、きちんと申告をすることで大幅な減税を受けられる場合が2021年3月31日まであります。