時効は時間の経過により権利を得たり失ったりする制度です。
一部には「借りたお金は絶対に返すべきだ」という考えの基、このような制度を好まない人も当然にいるはずです。
そこで、時効により利益を得る者の意思を尊重するために設けられたのが、援用・放棄の制度です。
・援用
当事者は、時効の成立を主張しなければ、時効による利益を受けることはできません。 したがって、消滅時効が完成しているのにお金を支払った場合には、返してもらうことはできません。
・放棄
一方、時効による利益を受けることを潔しとしない者は、その利益を放棄することができます。 しかし、時効完成前にあらかじめ時効の利益を放棄することができません。
時効の成立を主張した場合、起算日にさかのぼって権利を取得します。
取得時効を主張する者は、自分の占有期間のみでなく、前者の占有の期間も併せて主張することができます。
ただし、前者の占有の瑕疵(=欠点・マイナス点)も引き継ぐこととなります。
そもそも時効とは、長い間ある状態が続いているので、その状態を尊重するために認められた制度です。
だとすれば、ある状態がなくなったのであれば、その時点までの状態を尊重する必要はありません。
そこで認められるのが「中断」です。
・時効により不動産の所有権を取得した者は、時効の進行中に元々の所有者から所有権を取得して登記をした者に対しては、登記がなくても、時効による所有権の取得を主張することができます。
・時効の完成により不動産の所有権を取得した者は、その登記をしなければ、時効完成後にその不動産を元々の所有者から取得して所有権移転登記を備えた第三者に対し、所有権を対抗することはできません。
これは判例の考え方に基づいています。
宅建試験で出てくるワードとして重要なのが「取得時効」です。
取得時効の結果、「時効取得」するという状態が生まれます。