住宅の購入は一生に何度もあるイベントではありません。
そのため「自分の家が欲しい」と感じても、いざ実現させる段階になると想像以上に知らないことが多いものです。
知らないが故に損をしてしまうこともあるでしょう。
そういったトラブルを避けるために、住宅売買に関して国がさまざまな決まりを作っています。
そこで今回は、家を買う前に知っておきたい3つのことについてご紹介します。
どこにでも住めるワケではない!家を建てられる場所とは?
日本国内であればどこでも家を建てて住めるわけではありません。
土地建物に関する法律は、大きな枠から順に「国土利用計画法」「宅地造成等規制法」「都市計画法」「建築基準法」があります。これらの法律で、ある程度の規制が施されています。
ほとんどの人は都市計画法で規定された「市街地内で定められている『市街化区域』と、例外的に認められている『市街化調整地域』」に住むことができます。
例外的に認められているもののひとつとして、農業や漁業をしている方は仕事場の近くに住んでもいいことになっています。
市街化区域では、用途ごとに建物を建てられる地域が13に細分化されています。
その細分化された地域の中で低層住宅の良好な環境が保護される地域は「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」です。
第一種、第二種中高層住居専用地域でも住宅も建てられますが、マンションやスーパーなどの店舗も認められているため閑静さは若干落ちます。
これらの13の区分は、専用地域種別ごとに色分けされた地図がインターネット上で公表されている地域もあるので確認してみましょう。
買った土地いっぱいに家は建てられない?家を建てるときの決まりごと
家を建てるために買った土地でも、完全に自分の自由な考えを基にした家を建てられるものではありません。家を建てるときの決まりごとは以下の通りです。
●水平で安定した土地に建てる
まず、家は安定した土地の上に建てないといけません。少しの雨で家の土台部分の土砂が流れたり、陥没して家が傾いたりしては大変です。
安定した土地にするために「切土(きりど)」や「盛土(もりど)」などが行われます。
これらをするときは都道府県知事の許可を受け、完成後に完了検査をするように宅地造成等規制法で定められています。
切土:建物の近くに斜面がある際、家の面積を確保するため行われる。斜面の土地を切り取り、2メートル超の崖ができる。切り土
盛土:建物の近くに斜面がある際、家の面積を確保するため行われる。斜面に平らな土地になるよう土が盛られ、1メートル超の崖が生じる。
●敷地面積に対して、建てられる家の大きさが決まっている
建築基準法では、建ぺい率※という基準を設けて敷地内で家を建てられる面積を規制しています。
火災が起きたときの延焼や、風通しを良くして臭いがこもりがちになるのを防ぎます。
また、敷地にビッシリと隙間なく家を作ると、外に物を落としたとき拾おうとすればそこは他人の土地です。
許可なく入れば住居不法侵入罪にもなりかねないので、ご近所トラブルも回避できるでしょう。
※敷地面積に対する建築面積の割合のこと。
●近隣の家が日影にならないように建てる
自分の家のせいで近隣の家の日当たりに支障がでないよう、「日影規制」と「斜線規制」があります。
日影規制とは、近隣の家に日影ができて迷惑をかけないようにするための規制です。
斜線規制には「北側斜線規制」「隣地斜線規制」「道路斜線規制」があり、太陽の向きによってできる家の日影が家の四方に影響しないよう制限されています。
都市計画法や建築基準法の条件を満たし、家を敷地の真ん中に建てて影ができないようにすることが必要です。
また、敷地と接している道路の幅が4メートル以上確保され、さらに2メートル以上敷地が接していることが要求されます(接道義務)。
接道義務の条件を満たしていない場合は、前面の道路幅を4メートル確保するよう自分の家の面積が削らされる「セットバック」という規定があります。
セットバックしなくて済むように、家を建てるときから敷地周辺について角地・道を挟んだ向かいが河川・崖や山の斜面がすぐそばにないか状況を調べてから購入の判断を下すことが必要です。
支払いは土地・家だけではない!理想の家より予算にあった家を。
せっかく家を建てるなら、自分の理想を求めがちです。
しかし理想を追い求めすぎると建物の面積が広くなったり、内装・設備が想像以上の金額になったりと予算を超えることも少なくありません。
また支払うのは土地・家の金額だけではありません。
火災保険(地震保険もセット)、登記に必要な登録免許税、不動産取得税、さらに住宅ローンを組む場合は団体信用生命保険料などの諸経費もかかり、それらは土地・家の金額のおよそ5~10%と言われていてます。
ほかにも、家の土地・建物に対して固定資産税・都市計画税もかかります。
家を購入するときは「理想の家≦予算に合った家」を心に留め、余裕をもって住宅購入プランを建てることがおすすめです。
家を買う(建てる)ときは、いきなり買おうと行動する前に家に関する決まりごとを知っておきましょう。
建売、分譲住宅、中古住宅と購入するときの形体はさまざまですが、どの建物を購入されるにしても知っておいて損はない知識です。
住宅購入前にイメージを具体化でき、混乱したり後悔したりすることが減ります。
住宅購入について知識がなければ、友人や親戚・住宅関連雑誌・無料相談ができる場所で情報収集をするのも良いでしょう。