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2020年4月1日から施行される民法の改正

カテゴリ:不動産コラム
2017年5月に成立した「民法の一部を改正する法律」が2020年4月1日から施行されます。





この改正では、保証について新しいルールが導入されています。

1.賃貸借契約の連帯保証に関する改正 
賃貸借契約の連帯保証人が個人である場合は、原則として、連帯保証契約において「極度額」を合意しないと連帯保証契約が無効になります。

「極度額」とは、保証人の責任限度額、保証の上限額のことです。
例えば月額10万円のアパート賃貸借の連帯保証人との間で、極度額を100万円と定めたとすると、賃借人が家賃を滞納し、1年分(120万円滞納)支払わなかった場合、連帯保証人には合意した極度額の100万円までしか請求できなくなります。

この「極度額」については書面で合意しなければなりません。書面で合意しないと連帯保証契約自体が無効とされてしまいます。

2.改正民法の施行時期との関係
この新しいルールは2020年4月1日から実施されます。
現在、賃貸借契約を締結しているものについては極度額を合意していないと思われますが、この契約は2020年4月1日を迎えると無効になるわけではなく施行日以降に新規に賃貸借契約を締結する場合に適用されます。

 
3.保証人の地位が相続されない
改正前は賃貸借契約における連帯保証人の地位については、過去の事例において連帯保証人の地位も相続対象になる、とする判例が出ていたことから、連帯保証人が死亡した場合でも、その相続人にその地位を引き継いでもらう事が一般的でした。

ところが、今回の改正で「極度額」の設定が義務つけられたことで、大きな違いが出てきます。
極度額を定めて、その範囲内で継続的に発生する家賃などの債務を保証することを「根保証」といい、相続の対象となりますが、連帯保証人が死亡した時点で被保証債務が確定します。

そのため、連帯保証人が死亡する前に既に発生した家賃滞納の支払い義務については相続人に引き継がれますが、地位自体については相続されません。

今回の民法改正により連帯保証人については以前よりもかなり保護されることになるため、今後は契約書に「連帯保証人に死亡等で欠けた場合は、賃借人の責任と負担で別の連帯保証人を立てるか、保証会社に加入する」特約を記載されていくと思います。


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柳田 直喜

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