インターネットや不動産会社の折り込みチラシ、不動産会社の販売図面を見ていると、設備の項目に【電気・プロパンガス・都市ガス・公営水道・公共下水・浄化槽】と項目があると思います。
その中に浄化槽という言葉がありますが、この浄化槽とはいったい何でしょうか?
浄化槽法 という日本の法律によれば、下記のようにされています。
便所と連結してし尿及びこれと併せて雑排水(工場廃水、雨水その他の特殊な排水を除く。以下同じ。)を処理し、下水道法 (昭和三十三年法律第七十九号)第二条第六号 に規定する終末処理場を有する公共下水道(以下「終末処理下水道」という。)以外に放流するための設備又は施設であつて、同法 に規定する公共下水道及び流域下水道並びに廃棄物の処理及び清掃に関する法律 (昭和四十五年法律第百三十七号)第六条第一項 の規定により定められた計画に従つて市町村が設置したし尿処理施設以外のものをいう。
(浄化槽法 第一章 第二条の一)
この説明だとちょっと難しいですよね。
特に家庭用のものに限定して簡単に言えば、「生活の中で発生する汚れた水を、きれいな水にして川などに流すための装置」です。
人の生活の中では、様々な理由で汚れた水が発生します。
トイレから流される“し尿”だけでなく、炊事、洗濯、お風呂、洗面所などから出される生活排水も含めると、一人あたり一日に約200リットルもの汚れた水を排出していることになります。
これだけ多くの汚れた水を何も処理せずにそのまま垂れ流してしまうと、不衛生なだけでなく、自然にも様々な悪影響を及ぼしてしまいます。
これらの汚れた水を微生物の働きによって汚れを分解し、きれいな水に変えてから川などへ放流するための装置が浄化槽です。
現在では、下水道が整備されている地域も多くなってきましたが、それ以外の地域では、汚れた水を処理するために浄化槽の設置が法律で義務付けられています。
この浄化槽には、大きく分けて下記の2つの種類があります。
・単独浄化槽
し尿(水洗トイレ)だけを処理する浄化槽です。以前は、家庭用の浄化槽といえば単独浄化槽が中心でしたが、法律(浄化槽法)の改正によって、平成13年(2001年)4月1日以降の新設は禁止されており、現在は生産されていません。
また、現在の法律では「浄化槽とみなす」と定義されています。つまり、正式には浄化槽とは言えません。
・合併浄化槽
し尿(水洗トイレ)とともに生活排水(台所、お風呂、洗面所、洗濯排水など)も併せて処理する浄化槽です。
現在の浄化槽法では、浄化槽といえば「合併浄化槽」のことであると定められています。
単独浄化槽の場合、合併浄化槽への入れ替えが必要
以前に設置された単独浄化槽を継続して使用することはできます。しかし現在では、し尿などの汚水の衛生処理だけでなく、生活排水による環境保全についても浄化槽設置の目的とされています。
そのため、「単独浄化槽」が設置されている場合は「合併浄化槽」へ入れ替えることが求められています。
実際に家庭用で使用されている浄化槽の大きさは、各メーカー共に、5人槽・7人槽・10人槽の3種類が一般的です。
設置される浄化槽の大きさは、建築基準法の処理対象人員算定基準に基づいて、家の延べ床面積によって決まります。
どの種類の浄化槽を使用するかの算定基準は以下のようになります。
5人槽・・・130㎡未満
7人槽・・・130㎡以上
10人槽・・2世帯住宅で、両方に台所・風呂がある
この算定基準から、床延べ面積が130㎡以上ある場合は、仮に2人家族であったとしても7人槽の浄化槽を設置する必要があります。実際に使用する人数と勘違いされることが多いので、注意が必要です。
また、浄化槽は蓋の枚数で見分けられる場合もあります(合併処理浄化槽3枚、単独処理浄化槽2枚)。ですが、現在は浄化槽のコンパクト化などから、合併処理浄化槽でも2枚蓋の場合があるので、外見での判別は確実ではありません。生活排水(台所、お風呂、洗面所、洗濯排水)が浄化槽へつながっていれば、合併処理浄化槽と考えられます。
よく分からない場合は、住建メーカーや浄化槽管理会社へご確認をしていただくことをお勧め致します。
最後に、一番気になるのが浄化槽の耐用年数ではないでしょうか?
環境省が平成14年3月に出した「生活排水処理施設整備計画策定マニュアル」によると、浄化槽本体は設置後30年経過しても使用に耐えていることが分かりました。
しかし浄化槽の埋設場所や状況、地震等によっては亀裂や破損等が発生する場合もあり、そういった場合は修理や入れ替えが必要になります。
それらを踏まえて、浄化槽本体の耐用年数は必要な保守・修理を繰り返し行うことで、おおよそ20~30年とされています。
また、浄化槽に付帯している、空気を送る為のブロワーや排水の為の放流ポンプ等が本体よりも先に劣化します。
そのため、本体だけでなく付帯設備に関しても合わせて、保守・修理を続けることが必要となります。